「ヒロシマ・アピールズ」2024年版ポスター
2024年の作家は、副田高行氏です。
ポスターのタイトルは『遺品が訴えるもの』。
遺品が訴えるもの
戦後五年たって生まれた私には、とうぜん戦争の実感はとぼしい。戦後の空気はのこっていたが、毎年くりかえされる報道で、戦争のむごさや平和のたいせつさを感じていた。世界では、いまだに戦争がつづいている。人類は、いつまであやまちをくりかえすのだろうか。
「ヒロシマ・アピールズ」の指名があり、どうしたものかとしばらくは呆然としていた。ポスター一枚で、原爆のおそろしさ、平和、戦争反対をとなえることは、とてもたいへんな作業だとおもう。そんなこと自分にできるのか。私はふだん広告制作を生業としている。だから、デザイナーが頭のなかで描くイメージではなく、もっとリアリティのある表現はできないかと考えた。
当時の資料をしらべていくなかで、『ひろしま』という石内都さんの写真集にいきあたった。それは、出版社から依頼され、広島平和記念資料館・遺族同意のうえで撮影されたものだった。なかでも私の目をひいたのは、被爆者がその日身につけていた衣服だった。それはもちろんちぎれ、やぶれている。石内さんの解説によると、おおきなライトボックスの上において撮ったそうだ。その逆光の効果もあってか、不謹慎かもしれないが、悲惨さと同時にうつくしいとおもった。生なましさは消えて、おそろしいその瞬間をみごとに、象徴的に写しとっていると感じた。これなら、原爆のおそろしさを直截ではなく、シンボリックにつたえられるとおもった。この遺品は訴える。「あのできごとを、忘れるな」ということを。
石内さんの了解をえて、そのなかの一枚でポスターをつくった。現在でも遺族がたいせつに保管していた遺品が、毎年寄贈されるという。石内さんは、その後も毎年広島にいって撮影を行なっているそうだ。
副田高行
使用紙
アラベール-FS スノーホワイト 四六判Y目130kg
印刷加工
油性オフセット5色印刷(プロセス4色+特色スミ)[TOPPAN株式会社]
詳細は、JAGDA広島地区ウェブサイト(外部サイト) をぜひご覧ください。
また、こちらのポスターは、「ヒロシマ平和ポスター展 2024」他にて展示されるほか、1枚1,100円(税込)にて一般販売されます。
「ヒロシマ平和ポスター展 2024」
これまでの「ヒロシマ・アピールズ」全ポスターが展示されます。
会期
2024年8月25日|日|―8月30日|金| 10:00-19:00(最終日は17:00まで)
会場
旧日本銀行広島支店 〒730-0036 広島市中区袋町5-21 MAP
主催
公益社団法人日本グラフィックデザイン協会[JAGDA]広島地区 他
料金
無料
広島市内のバス停へのデザイン掲示
期間:2024年7月29日|月|―8月11日|日|
「日本のグラフィックデザイン2024」展
本年ポスター『遺品が訴えるもの』および第1回ポスター(デザイン:亀倉雄策、1983年)が展示されます。
会期
2024年7月12日|金|―8月25日|日|
料金
無料
「ヒロシマ・アピールズ」について(外部サイト|JAGDA広島地区)
公益社団法人日本グラフィックデザイン協会[JAGDA](2024年7月12日付)