紙をめぐる話|コレクション No.38
その日の色
「 3、4、5月 井上庸子」展
清潔感、澄んだ空気、自然体、などなどなど。
さまざまな言葉で表現される井上庸子さんのデザインは、
どのような営みから生まれてくるのでしょうか。
中国の杭州で開催された「3、4、5月  井上庸子」のお話から、
その源泉がじんわりと垣間見えた気がします。
2025.12.03
初出:PAPER'S No.69 2025 冬号
清潔感、澄んだ空気、自然体、などなどなど。
さまざまな言葉で表現される井上庸子さんのデザインは、
どのような営みから生まれてくるのでしょうか。
中国の杭州で開催された「3、4、5月  井上庸子」のお話から、
その源泉がじんわりと垣間見えた気がします。
2025.12.03
初出:PAPER'S No.69 2025 冬号

キュレーターの話
服部彩子さん

ギャラリーの主催者であるMeiさんは、
井上さんの作品を「何を描いているかをこえて、空気感が好きです」と仰っていました。
「だから何を展示してもいいです」とも。
ただ、あの広い空間がいい感じに埋まるのか、少し不安でした。
「じゃあ行ってしまえ」と、
一年前の4月ありったけの作品を抱えて
井上さんと杭州まで出かけました。
いざ作品を並べてみると、ボリューム的にはいける。
でも何か決め手に欠けるねと悩んでいると、Meiさんがスケッチを持ってきました。
ロの字の台で、真ん中を空けて、「もののあいだにある空気感を表現したい」と。
うん、それはおもしろいねと、開催を決めました。
また、杭州の果実で新作をつくれるといいねと
井上さんと話し、現地の畑で撮影もしました。
「凝ったデザインが主流の中国で、そうではない在り方を
若い人たちに見せたい」というMeiさんの願いの通り、
展覧会では中国の若い人たちが井上さんの作品に見入っていて、
本当にやってよかったなと思いました。

デザイナーの話
井上庸子さん

一年前の下見の時に、現地にたくさんの作品を持ち込んで、
「あ、なんか並んだな」と安心した後、さくらんぼ畑に行きました。
いい場所を見つけたら白い紙を服部さんが持って、私が撮る、
を繰り返しました。
現場では好きな枝ぶりを一生懸命探すのですが、
出力してみたら、あ、これあんまり好きじゃなかった、
なんてことも多々。
大量の写真から選んだものはどれも似ていて、
展示ではその「好きの微差」を見てもらうことに
しました。
紙はルミネッセンス
色はマキシマムホワイトです。
壁の色とのちょうど良さと、日差しが強いので、出力を日に当て
ながら決めました。
ちょうど良さって?うーん、溶け込みすぎず、
紙が前に出すぎず、でしょうか。
印刷は、下手な仕上がりが好きな自分の事務所の
プリンターで。
背景の色は調整していません。
その日の日差し、その日の色です。
私が自然体?いやいや本人はそれなりに必死です。
いつも正解がないので、困ったなと思っています。
3、4、5月 井上庸子
会期:2025年3月30日|日—5月31日|土|
会場:X sign Space|中国・杭州
キュレーション:Mei Shuzhi、服部彩子
特別協力:M.TP

X sign Space|分野横断型のイベントおよび
展覧会の発信地。2023年に設立され、グラ
フィック、建築、ファッション、プロダクト、
デジタルメディアなど展示内容は多岐にわたる。

Mei Shuzhi |日常生活からインスピレーション
を得て、新鮮さと遊び心を追求し、デザインの
新たな可能性を探求している。2023年、X sign
SpaceをMao Yitingと共同設立。

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