紙をめぐる話|コレクション No.39
切る角度を
変えてみると
Diagonal Cut Tape
真っ直ぐではなく、斜めにカット。
貼っていくとゆらゆらゆら、
ユニークな波線が現れます。
mtの「Diagonal Cut Tape」は、
これまで意識を向けてこなかった「形」に
着目したテープ。
思い浮かびそうで思い浮かばなかった発想で、
マスキングテープの常識を愛らしく揺らがせています。
2026.08.26
初出:PAPER'S No.70 2026 夏号
真っ直ぐではなく、斜めにカット。
貼っていくとゆらゆらゆら、
ユニークな波線が現れます。
mtの「Diagonal Cut Tape」は、
これまで意識を向けてこなかった「形」に
着目したテープ。
思い浮かびそうで思い浮かばなかった発想で、
マスキングテープの常識を愛らしく揺らがせています。
2026.08.26
初出:PAPER'S No.70 2026 夏号

デザイナーの話
居山浩二さん

こんなことも、あんなことも、いや、ひょっとすると……。
mtのブランディングを担当するにあたって
まずカモ井さんの工場を見学させていただいたのですが、
素材や技術に感化されて次々とアイデアが浮かんできました。
「テープを切る角度を変えてみると」と思いついたのもその時です。
実現には苦労したので製造工程はものすごく大変だったと思うのですが、
カモ井さんは、無理なことを言われれば言われるほど燃える人たち。
フロッキー加工を施した立体感のあるテープやデザインに合わせて型抜きしたテープなど、
これまで多種多様な商品をのびのびと提案できたのは、
そんなカモ井さんたちのある意味で破天荒な姿勢に影響を受け、
発想力を解放してもらえたことが大きいとも感じています。
「 Diagonal Cut Tape」は鋭角だとエッジが立ちすぎ、緩すぎると変化が弱くなってしまうため、
角度は発注前に事務所で検証して決めています。
「 テープを斜めに切る」というのは決して突飛な発想ではないんですよね。
ただそれに気づけるか、形にできるかどうかがデザイナーの重要な仕事。
デザインのヒントは些細なできごとや
当たり前だと思っている日常の風景の中に散らばっていたりしますから、
何事にも常に目を凝らしておくことが大切なのだと思います。
今後は20周年を目標として、mt の魅力をさらに膨らませる提案をしていきます。
「無理だけどやってみるか」とカモ井さんたちに言われ続けながら。

製造会社の話
カモ井加工紙 谷口幸生さん、 高塚 新さん

カモ井加工紙は元々ハイトリ紙の製造会社です。
そこで培った粘着技術を活かして工業用養生テープをつくり、
さらにそれを文具・雑貨向けのカラフルなマスキングテープへと
発展させたのが現在の「mt 」です。
居山さんにはアートディレクターとして2009年から
すべてのアイテムのデザインや展示、イベント等の監修をしていただいていて、
テープメーカーの常識にとらわれない多彩なアイデアに刺激を受け、
その度に手探りをしながらブランドの展開を膨らませてきました。
「Diagonal Cut Tape」は、社内で通称「なみなみテープ」と呼んでいます。
居山さんの発想で斜めに切ったテープを試作し、
2009年に初めて開催した展示「mt ex」展の
空間の片隅に一箇所だけ貼ったことが始まりでした。
テープを斜めに切る。ただそれだけのようですが、
実現には無数の試行錯誤を繰り返しました。
最初に試したウォータージェットは紙管の空洞内で水が散ってしまいあえなく失敗。
ギロチンのような切り方やレーザーカッターなどいくつもの検証を続け、
徐々に精度を上げていきました。
それでも機械化はできておらず、角度を斜めにする工程は手作業。
検証は今でも続いています。この製品にどれだけ市場があるのか分かりませんが
「カモ井は挑戦する会社」だと感じてもらえれば、ひとつの成功だと考えています。
これからも居山さんに触発されながら成功例を重ね、
マスキングテープの可能性を広げていくつもりです。
mt
「手でつくるよろこびを」を掲げ、
貼る楽しさで暮らしを彩るマスキングテープブランド。
ブランドサイト:ht tps:/ /www.masking-tape.jp/
※「Diagonal Cut Tape」は一般販売していません。
IMG_7198
「mt ex at 3331 Arts Chiyoda」 2016

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