2022.04.06

林伯山

写真集『敕勒』

中国のグラフィックデザイナー林伯山さんに、写真集についておしえていただきました。

用紙: 表紙・本文　　：ヴァンヌーボV-FS　スノーホワイト　四六判Y目　105kg
帯　　　　　　：ヴァンヌーボV-FS　スノーホワイト　四六判Y目　235kg
展覧会チケット：ヴァンヌーボV-FS　スノーホワイト　四六判Y目　105kg

用途: 書籍、チケット

選んだ理由: ヴァンヌーボは派手な紙ではありません。インキが刷られる前は控えめで目立たない紙です。純粋な白い紙面には無駄がなく、ひけらかすような際立った質感もありません。ただ、ひとたび色を重ねると、面の中の全ての粒子に生命が宿ります。私はこのような効果を他の紙で体験したことがありません。繊細さを強調した写真集『敕勒』には、ヴァンヌーボ以外の選択肢はないと感じました。

『敕勒』の最大の特徴は繊細さです。その繊細さを表現するため、デザインが与える影響を最小限にと考えました。写真作品が電子画面上に軽薄に漂っているように見えるのではなく、効果的に紙と一体化し、質感を持った「物」になるように心がけました。
4巻セットの写真集の表紙と本文に、比較的薄い《ヴァンヌーボV-FS　スノーホワイト　四六判Y目　105kg》を採用し、読者が手にしたときに、あるようなないような、「風」のような軽い質感となっています。――ヴァンヌーボのネーミングの由来となったフランス語「VENT NOUVEAU」（新しい風）も、デザインコンセプトと一致しています。

『敕勒』が表現したいのは、この斬新かつ明快な体験です。写真集『敕勒』は、同名の展覧会の図録でもあります。まるで遊牧民のように、硬直したアートシーンの境界を「緩め」、慣習に支配されない自由な創作を勝ち取る、というコンセプトを持っています。

この写真集の軽く精巧なデザインは、全て「緩い」状態を表現する為のものです。この「自由」と「緩さ」を表現するため、西夏文字とアラビア文字からインスピレーションを得た同名のフォントセット『敕勒』もデザインしました。

会期中、『敕勒』の写真家たちは、光を受けて輝き表情を変える自身の作品を飽くことなく見つめ、作品がヴァンヌーボの上で生まれ変わった、と称賛しました。ヴァンヌーボと同じく、この写真集も控えめな美しさがあり、余分な装飾が無く、ページをひらくと繊細で柔らかな光が感じられます。（林伯山さん）

--以下原文--
在我的理解中，“宛如珀”并不是张扬于外的纸，在油墨还未被施加其上之前，它是低调和平实的，纯粹的⽩⾊纸⾯没有累赘的、炫耀性的质感。⼀旦⾊彩深深浅浅地层层叠上，画⾯中每⼀个颗粒都会灵动起来。这样的效果我⽆法在别的纸张上体会到，所以强调细腻的《敕勒》除了“宛如珀”别⽆他选。

正如前⾯所说，《敕勒》最⼤的特⾊是细腻，为了突出这种细腻，我尽可能地降低设计对画册的影响，以求摄影作品的画⾯切实地和纸张融为⼀体，成为有质感的“物”；⽽不是轻浮地再现电⼦屏幕上的悬于虚空中的阅读。除了腰封，⼀体四册的画册包括封⾯都采⽤了较为轻薄的“宛如珀 VNV-105-3”，读者捧在⼿上的时候，若有若⽆的质量就成了“⻛”——“宛如珀”即法语的“VENT NOUVEAU”意为“崭新的⻛”，也暗合了这种构思。

简单来说，《敕勒》想要展现的正是这种全新的、明快的体验。它也是同名展览《敕勒》的展览画册，从概念上，“敕勒”意味着以游牧的⽅式“松动”顽固的艺术圈的边界，以争取不受艺术圈话语体系规训的创作⾃由。轻巧的画册整体及腰封、拉⻚的设计都是为了呈现“松动”的物态。为了体现「不受规训」和「松动」，我还特地为《敕勒》设计了⼀套以⻄夏⽂字和阿拉伯⽂字为灵感的同名字体。

在展览期间，《敕勒》的摄影师们爱不释⼿地端详画册中⾃⼰的作品在光下千变万化的闪烁，称赞⾃⼰的照片在“宛如珀”上得到了新⽣。和“宛如珀”⼀样，这套画册在不动声⾊的矜持中除了美，没有多余的花样，打开它就能看到细腻⽽温柔的光。（林伯山）