紙をめぐる話|紙の生まれる風景 No.35
大子那須楮(だいごなすこうぞ)
札貼り
札貼り
2026.08.26
初出:PAPER'S No.70 2026 夏号
2026.08.26
初出:PAPER'S No.70 2026 夏号
出荷直前にする最後の手仕事がある。
干した皮の長さを整えた楮の束に、一枚、一枚、
「茨城県 大子那須楮」と刻された札を貼っていく作業。
かつて、この地の楮は単に「那須楮」と呼ばれていた。
車などの交通手段がなく船で楮を東京へ運搬していた時代に
鬼怒川を通して那須で積み出しをしていたのが由来とされ、
栃木が産地と勘違いされることがほとんどだったという。
当時は流通を問屋に任せきりで、育てた楮がどこに卸され、
どんな用途で使われているのかも不明で、価格も安かった。
大子の楮農家は、こくこくと減っていった。
流れを変えようと2016年に「大子那須楮保存会」を発足。
「茨城県 大子那須楮」としてブランド化し、存続を図った。
産地は知られ始めたが、楮農家の減少は止まっていない。
もっと知ってほしい。札を貼り、願いを貼っていく。